甲状腺・内分泌疾患|京田辺市松井山手の内科 ちゅうしょクリニック バセドウ病・橋本病

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甲状腺・内分泌疾患

内分泌疾患とは、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎などのホルモンを産生する内分泌臓器の障害によって、ホルモン分泌の異常が起こる疾患です。どの臓器の障害なのか、ホルモンの分泌が多いか少ないか、などによって症状は異なってきます。内分泌疾患は、心臓病や糖尿病、更年期障害、消化器疾患、うつ病など、別の病気と間違われることも少なくありませんので、一度は内分泌系の疾患でないかどうか、検査することをお勧めします。

*当院では、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と橋本病(甲状腺機能低下症)、甲状腺腫瘍などの甲状腺疾患に対して、採血、甲状腺エコー、エコーガイド下穿刺細胞診などで、正確に診断・加療を行います。また、他の内分泌疾患(副甲状腺機能亢進症、副腎腫瘍など)も診断して、適切な治療方針をたてますので、気になる方は、ご相談下さい。

甲状腺疾患

甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」(甲状腺軟骨先端)のすぐ下にある、重さ10~20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。蝶が羽根を広げたような形をしていて、気管を取り囲むように位置しています。
甲状腺の病気は女性に多く見られる病気で、40歳以上の成人女性を対象とした健診において、10%程度の高い頻度でなんらかの甲状腺の異常が見つかったという報告もあります。男性も甲状腺の病気になり得るのですが、女性のほうが10倍程度多く、女性の病気と言っても過言ではありません。

甲状腺疾患の症状

甲状腺疾患の症状は、局所症状としては、首のところが腫れる、痛みが出る、などがあり、全身症状としては、動悸がする、イライラして落ち着かない、暑がりで汗をかきやすいなどの症状や、逆に、疲れやすい、むくみやすい、便秘、冷えなどがあります。
これらの全身症状は、多くの女性が日々感じているものであり、産後の疲れかなとか、更年期かなとか、老いによるものだ、などと自己判断していたのが、実は甲状腺の病気が原因だったというケースがあります。

主な甲状腺の病気

大きく分けると、甲状腺ホルモンの量が変化する病気、甲状腺内に腫瘤(しゅりゅう)ができてくる病気、両者の合併する病気の3つに分けられます。
それぞれについて病名を記しておきます。

甲状腺ホルモンの量が変化する病気
  • ・甲状腺機能亢進症:バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など
  • ・甲状腺機能低下症:橋本病(慢性甲状腺炎)、粘液水腫、甲状腺摘出術後、アイソトープ治療後など
甲状腺内に腫瘤ができる病気
  • ・甲状腺良性腫瘍:腺腫様甲状腺腫、のう胞、腺腫など
  • ・甲状腺悪性腫瘍:甲状腺乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫など
甲状腺にできた腫瘍がホルモンを作り出し、甲状腺機能亢進を示す病気
  • ・プランマー病(甲状腺機能性結節)

――上記のような甲状腺の病気は、いずれもきちんと診断、治療すれば、多くのケースは不都合なく生活を送れるようになります。治療方法は、内服薬、アイソトープ治療、手術などがあります。当院では、バセドウ病や橋本病については、内服加療を中心に行いますが、アイソトープ治療や手術などが必要だと判断した場合は、適切な専門治療を行う医療機関に紹介いたします。
また、甲状腺腫瘍については、採血で用いる注射器と針を使って、エコーガイド下で甲状腺穿刺細胞診を行い、正確な診断を付けた上で、治療方針を定めます。針を刺している時間は数十秒以内で、痛みも採血と同じ程度、検査はエコーの時間を合わせても10分程度で終了します。
残念ながら、悪性腫瘍だった場合は、信頼できる医療機関にご紹介いたします。ほかのがん、例えば胃がんや肺がんなどと比べてもおとなしいタイプが大多数ですので、落ち着いて対応してもらえればいいと思います。

こんな症状の方はご相談ください

  • 首に腫れがある
  • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
  • 手指が細かく震える
  • 暑がりになり、汗をたくさんかく
  • よく食べているのに痩せてきた
  • イライラしやすくなった、落ち着きがなくなった
  • 体が冷え、寒がりになった
  • 肌が乾燥し、カサカサする
  • 体が重く、だるさを感じる
  • 食欲が無いのに太ってきた
  • 朝起きた時に、顔や手がむくんでいる
  • よく筋肉がつるようになった
  • 便秘をしやすくなった
  • 昼間も眠く、居眠りをするようになった
  • 脈がゆっくりになった
  • 月経不順になった

副甲状腺の病気

副甲状腺は、甲状腺の裏側に小さくくっついている臓器で、カルシウムの代謝に関わっています。
副甲状腺ホルモンが過剰になると、骨からカルシウムが多く溶け出してしまうため、骨粗鬆症になり、骨が折れやすくなります。また、血中のカルシウム濃度が高くなるため、腎臓に多くのカルシウムがでてきて、尿路結石をおこしたりします。精神的にも影響が出ることがあり、軽症だと、イライラ、不眠などを認め、重症だと、意識障害を来すことがあります。人口数千人に1人に認められますので、思いの外、頻度の多い疾患です。

こんな症状の方はご相談ください

  • 骨粗鬆症がある、よく骨折する
  • 骨が痛い
  • 腎臓の結石がある、尿路結石になったことがある
  • 血中のカルシウム濃度が高いと言われたことがある

副腎の病気

副腎とは、腎臓の頭側にくっついている小さな臓器ですが、体にとって非常に大事なホルモン(アルドステロン、コルチゾル、カテコラミンなど)を分泌しています。そのホルモンが過剰になると、高血圧や糖尿病を引き起こしますし、逆にホルモンが足りないと、全身倦怠感、やせなどを引き起こします。高血圧の数%は、副腎腫瘍によるものといわれており、高血圧の薬が効きにくい特徴もあります。
当院では、高血圧や糖尿病などの病態があったときに、上記のような二次的な原因がないかどうかを念頭におきながら、鑑別診断を行います。そして、副腎疾患を疑った場合は、積極的に、京大病院、京都医療センター、京都市立病院などの内分泌内科に紹介するようにいたします。

男性更年期障害

女性の更年期障害は、閉経による女性ホルモンの不足によるものですが、最近、男性でも年齢と共に男性ホルモンが低下することで、さまざまな症状がおこることがわかってきました。気分の低下、集中力低下、顔面紅潮、筋力低下、体脂肪増加、骨密度低下などが見られたときは、それらの症状の原因が、男性ホルモンの低下かもしれません。
特に、下垂体の病気を持っている方、慢性腎不全の方、糖尿病の方、閉塞性肺疾患の方、男性ホルモンの代謝に影響する薬を長期内服されている方、などは、男性更年期障害になりやすいといわれていますので、検査を受けることをお勧めいたします。
血中の遊離テストステロン濃度を測定することで、男性ホルモンの不足がはっきりします。その場合は、男性ホルモン補償療法による治療で、上記の症状が改善することが期待できます。

なお、女性の更年期障害については、当院では、女性ホルモンの補充ではなく、漢方で対応する形になります。現時点では、女性ホルモン補充を希望される方は、子宮がんのリスクなどを考えて、婦人科での加療をお勧めしております。